シリコン電池のしくみ
「結晶シリコン」とは、シリコンの原子が規則正しく整列していて、材料としてのシリコンが最大限の能力を発揮できる状態だと表現できます。この結晶シリコンの中でも、素子全体にわたって”整列”が保たれた状態を「単結晶」、直径数mm程度の小さな単結晶が集まっている状態を「多結晶」と呼びます。(結晶の粒がさらに細かい場合は「微結晶」と呼ばれますが、これは厚みも製法も大きく異なります。)
単結晶シリコン太陽電池
最も古くからある太陽電池です。高価ですが高性能で、変換効率が20%を超える製品が販売されています。特に変換効率が求められる用途に使われます。
多結晶シリコン太陽電池
現在もっとも広く使われている太陽電池です。細かいシリコン結晶が集まった「多結晶シリコン」を用います。変換効率は少し落ちて15~18%ぐらいですが、単結晶シリコンよりも省エネルギーで安価な方法で製造できます。
シリコン電池(二次電池)のメリット(参考)
シリコン電池はリチウムイオン電池が抱えていた問題点を一挙に解決することが可能と期待されている。この地球上にほぼ無尽蔵に存在するシリコンを蓄電池の材料として商品化できるようになれば、電気自動車の普及は一気に進むことになります。
1. 出力密度が高いため、1回の充電で、電気自動車の場合、最低でも400キロ、場合によっては500キロの走行が可能。
2. 蓄電池の軽量化とコンパクト化が可能になる。現在のリチウムイオン電池と比べても、10分の1のサイズに収まる。
3. 充放電の回数による性能劣化も少なく、リチウムイオン電池と比較し、100倍以上の耐久性が得られる。
(これまでのリチウムイオン電池の寿命3年と比べ、30年は持つ)
4. リチウムイオン電池の問題点の1つである発熱性に関して、シリコン電池の場合には、発熱がゼロであるため、火災のリスクは一切ない。
5. 充電時間が遥かに短くて済む。家庭のコンセントを使えば、1時間でフル充電が可能。(リチウムイオン電池の場合には最低でも3時間。シリコン電池は急速充電を行なえば、6分で充電が完了)
6. 地球上で最も広範に存在する砂から材料を抽出できるため、材料調達の制約が無く、コストを極めて低く抑えることができる。
7. 環境汚染はほとんどゼロ。
結晶シリコン太陽電池は、最も古くから使われている太陽電池です。その構造や性能は時と共に進歩していて、現在でも市場の主流を占めています。